寝る前にホットミルクを飲むと眠りやすくなる、という話を聞いたことがありませんか。
頭が冴えてしまったり、眠気のタイミングを逃してしまって眠れない時にホットミルクを飲むことで眠りにつくことができるのなら、次の日に睡眠不足を持ち越すこともなくなります。
昔からある説ではありますが、実際にホットミルクを飲むことで眠りやすくなるのでしょうか。
牛乳の成分や効能から確認していきましょう。
睡眠に有効な牛乳な成分
まず、牛乳にはどのような成分が含まれていて、その成分がどのように睡眠に有効か確認していきましょう。
カルシウム
牛乳の代表的な成分として、カルシウムがあります。
カルシウムは骨を作る成分としてよく知られていますが、イライラするのはカルシウムが足りないから、と言われるように、興奮を抑える成分として扱われることもあります。
トリプトファン
もう一つの睡眠に関係する成分として、トリプトファンがあります。
このトリプトファンは、体内に吸収され脳内物質「セロトニン」に変化します。
セロトニンには、精神をリラックスさせる効果があります。
さらに、セロトニンは安眠を司るホルモン「メラトニン」にも変化します。
また、トリプトファンは「必須アミノ酸」と呼ばれる、体内で合成できない成分でもあります。
成分から見る安眠効果
では、上記の二つの成分に安眠効果はあるのでしょうか。
カルシウムに興奮を抑える効果があれば、気分を落ち着けて眠りやすくなると考えられますが、実際には健康な人の体内では、カルシウム濃度を正常に保つ機能が働いているため、カルシウム不足によって興奮状態になるとは考えにくいでしょう。
また、二つ目の成分のトリプトファンから変化するメラトニンには安眠効果がありますが、変化する時間を考えると就寝前よりももっと前に飲む方が効果的と考えられます。
以上から、寝る前の牛乳の成分自体には安眠を促す効果はあまり期待できないでしょう。
実際の安眠効果
では、なぜ寝る前にホットミルクを飲むと眠りやすくなると言われてきたのでしょうか。
牛乳の成分以外の面から見ていきましょう。
ホットミルクを飲むことで、体の深部が温められます。
体が温められると、反動で体温を下げる機能が働き入眠しやすくなります。
体を温める効果はホットミルクに限ったことではないですが、眠りを促す効果があると言えるでしょう。
また、牛乳で甘み成分である乳糖は温めることで甘みを感じやすくなります。
温めることで甘みを感じるようになったホットミルクを飲むことで、体がリラックスされて安眠効果が期待できるかもしれません。
効果的な飲み方
安眠効果が出やすいようにするためには、どのような飲み方をするのが効果的でしょうか。
成分の面から効果を期待する場合は、トリプトファンがセロトニンを経てメラトニンに変化するのが15時間前後とされているため、寝る前よりも昼食前後に飲む方が効果が期待できます。
また、他の栄養分と一緒に摂取することでトリプトファンがメラトニンに合成されやすくなるため、食事と一緒に飲むとよいでしょう。
体を温める効果を期待してホットミルクを飲む場合は、体を温めた後に体温が下がることで入眠効果が高くなるため、体温を下げる時間も考えて就寝前1時間~1時間半くらいに飲むとよいでしょう。
牛乳は乳脂肪を含むため、飲み過ぎると胃腸に負担がかかる可能性があるため、飲み過ぎには注意しましょう。
ホットミルクは睡眠に効果的?【まとめ】
寝る前にホットミルクを飲むとよい、というのは昔からある話ではありますが、含まれている成分から考えると、特別ホットミルクだけが入眠効果が高いとは言えないようです。
しかし、寝る前でなくとも牛乳を飲むことでの効果が全くないわけではなく、お茶やコーヒーなどのようにカフェインを含んでもいないため、睡眠を妨げることもありません。
また、昔から言い継がれているということは、成分だけではない効果がある可能性もあります。
もしどうしても眠りにくい時は、気分転換も兼ねてホットミルクを飲んでみるのもいいかもしれません。